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「きょうも怒鳴られる」 [間接的に考える]

「きょうも怒鳴られる」

昨日の朝日新聞(東京本社版)をご覧の方は、おそらく読まれたと思う。
第1社会面(ラテ欄の裏側)をすべて使っての記事。
CIMG2421.JPG
180行近くにおよぶ「ルポルタージュ現代」は、

きょうも怒鳴られる
見えぬ顧客、受けとめます

CIMG2423.JPG

とのキャッチーな見出しで、家電量販店のコールセンターの悲哀を紹介している。
朝は流し読みをして、夜にじっくり読み込むという習慣の私ですが、
さすがにこの記事はじっくりと読んでしまった。

記事があまりにも長いので、ここに全文紹介はしない。
全文を読まれたい方は、ネットで検索するか、図書館で読んでください。
要旨をご紹介します。
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家電量販店「ヤマダ電機」のコールセンターは、沖縄県浦添市にある。
修理の受付をはじめ、最近は都市部の営業効率を上げるために、
店舗への電話も転送される。
閑散期は1日に1万件、繁忙期は10万件にも及び、
ここに働く人の9割は、2ヶ月ごとに契約更新される派遣労働者。
コスト削減のために、人件費の安い地方都市や沖縄に開設されるという。

「ぶっ殺す」
1分ほど待たせた相手の怒りが、初めから全開だ。
ゲーム機の在庫を問い合わせる客や、店への行き方を尋ねる客に交じり、
「原発再稼働は許せん」などの理不尽な電話も日常茶飯事だという。
そして、相手が納得しないと、先ほどの「ぶっ殺す」発言になる。
「僕が怒られているわけじゃない、たまたまぶつけられているだけ」
とは、その電話を受けた社員。
1年半で同期の13人のうち、11人が辞めた。
「一回折れてしまうと、立ち直れない人が多い」とは、センター長の言葉。
最初の1ヶ月で3分の1が辞めるというほどの離職率の高さである。

ゲーム機の修理の応対が不満だという中年の男性客は、
決まって平日の午後に、センターの対応を試すようにかけてくるという。
話すほどに言葉は荒く、激しさを増す。
「営業の人だよ」「仕事でやなことがあったんだよ」など、
オペレーターは相手を想像して気を紛らわせる。 
「そうでもしないとつぶれちゃいますから」

電話口で泣き続ける80代の女性がいた。
「息子が昔はかわいかったのに、言うことを聞かないの、勝手にテレビを買ってきて・・」
どう答えていいかわからないままやり取りを続けると、
後ろからリーダーに肩を叩かれ「黙って聞いてあげて」とのメモ、40分間聞き続けた。

苦情や問い合わせを引き受けるコールセンターは、各業界で増え続け、
その労働人口は90万~100万人とも言われる。
相手が納得するまで電話を切らない――それがコールセンターのルールだ。
トイレの壁には誰かが拳で開けた穴が二つ残っている。
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私はこのブログで職業を明かしていないが、この記事はとても共感を持って読んだ。
どの立場でかといえば、電話を受けるオペレーターの心境である。
トイレにあったという拳大の穴は、その憤懣やるせない憤りの具現化された形だと思う。
哀しくて悲しくて辛くて・・そういう思いで読んだ。

そして、なぜこういう状況が生まれたのだろうと考えた。
その答えは、とてもいっぱい出た。
思うがままに書き連ねる。

・異常なまでの攻撃的な消費者の意見
・この状況を「サービス」と取り違えている企業風土
・都市と地方の雇用のミスマッチ
・核家族、高齢者の孤独化
・相手の立場をおもんぱかるというモラルの低下――

対症療法的には、くだんの「ぶっ殺す」は、刑法の恐喝の立派な構成要件だから、
積極的に提訴することが求められる。
しかし、企業は対顧客を訴追するのを渋る風土がある。
では、その辛い仕事に対して、賃金の増加などの処遇改善をすればいい。
しかし、そもそもコスト軽減で、地方に移設した経緯がある以上、それは望めない。
ならば、コールセンターシステムを改廃して、その部分もコストとして廃止してしまえばいい。
しかし同業者との価格競争が限界に近く、逆差別化されてしまう。
――なんだ、どうにもならないじゃないか・・。

本筋ならば、国民のモラルの改善を求めるのが一般的だ。
でも一朝一夕にできるはずもない。
なにがこうなってしまったのかわからないが、戦後教育の帰結だとする意見も多いと聞く。

結局、一番困惑するのは、底辺にいる消費者に最も近い人々。
気の毒にも、実は片やオペレーターとして謝り続ける一方、
消費者として商品を購入する張本人でもあったりする。

駅や電車内で、駅員などに暴行をはたらく輩。
役所などで声高に意見と称する暴言を吐く輩。
店舗で、ささいな事柄で鬼の首を取ったように罵る輩。
この国は、どうしてこうギスギスした社会になってしまったのだろう。

私事であるが、弊ブログでは原則として、否定形で物事を書かないようにしている。
ネガティブリポートは、時として人を不愉快にさせるからだ。
私も仙人ではないので、不快に思うこともあるが、あえてこの場では書かない。
ブログを始めた時から自分に課したレギュレーションである。

では日常では、どうしているのか。
基本的には、あまり不快に思わないという、楽天的な性格でもある。
そして多少の腹立たしい事象があった時に、意図的にこうつぶやくようにしている。
「いいじゃねえか、そんなことは!」
すると、仮に不快なことがあっても、その怒りは収まる。
そのかわり、通常以上に相手の手数をかけた時には、
「ありがとう」という言葉を多用している。
ありがとうと言われて、イヤな思いをする人は少ないから。
道徳の授業みたいだけれど、これを実践しているうちは、
むちゃくちゃな消費者を演じる危険性はない。

でもそれ以上に、便利さを追求しないという、性格にもよるところが大きい。
例えば電話、私が嫌いなコミュニケーションツールの一つ。
電話をかけるということは、相手の状況をわきまえずにその時間を拘束するものと思っている。
だから急を要するとき以外は、まず電話をしない。
ブログをやっているから、ネットを多用していると思われがちだが、
実はほとんど使用していない。
買い物は店舗で、情報はペーパーでと、アナログ派である。
コールセンターは便利かもしれないけれど、自らの思考の放棄だと思い、
可能な限り、自分で答えを求めようとする。
(その結果わからないことは「わからないもの」というカテゴリーに放り込んでしまう)

便利を追求しないのは、私が40歳になったときに宣言した、
「愚直に不便を楽しむ」の具現化
その結果、社会で生きていけていないのかというと、どうやら生き永らえている。
でも、これを万人に求めるのは無理というものだろう。

話を戻して、先ほどのコールセンターのこと。
記事での光景は、実は対岸の火事ではない。
常日頃、私たちの周囲で起きていることの、ある一コマである。
「ぶっ殺す」と言った輩は、実は私たちのすぐそばにいるかもしれない。
もしかしたら、自分が時にこういう発言をしているのかもしれない。
この光景を「遠い国の異質ななにか」と捉えず、
すぐ近所、あるいは自分が当事者だとしたらと多くの人が考えるしか、
この問題を解決する抜本的な手段にならないと思う。

学校現場でいじめをめぐる、哀しい諸問題が噴出している。
オトナの社会でも、何も変わっていないじゃないか。
子どもたちに問題があると思っているオトナの存在こそが、
実は最も憂慮すべき問題なのである。

きょう怒鳴られたのなら、あすは誉められる希望がない社会は、
長続きなんかするはずない。

※意見には個人差があります、あくまで私見としてお読みください


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たろー

飲食店、小売店、サービス業の方々に横柄な態度を取るやつは男でも女でも大嫌い。
けっこう身近にもいるからそんなやつは下品なやつと軽蔑します。
きっと育ち方が悪かったんだろうな。
by たろー (2012-11-08 15:41) 

式守錦太夫

たろーさま、個人だけの問題じゃないと思いますよ。
そういう言動が表れるのは、さまざまな事柄の端的な一瞬です。
世の中を変えていかないと、この国はもちません。
みんなが考え、汗をかいて行かないと・・。
by 式守錦太夫 (2012-11-09 03:29) 

fjym

うちは、朝日ではないのですが、ご紹介の記事は、以前に類似の状況を耳にしたこともあり、何というか、やるせない思いがしました。
社会や個人のいろいろな歪みがそこ(コールセンター)に現れているというか・・・。
電話、匿名、という狡さもありますね。お互いの顔が見えていれば、人間、そこまでの暴言は吐けないはずです。
by fjym (2012-11-09 09:16) 

なゆ

私もグループ会社のコールセンターを見学に行ったことがあります。
休憩スペースには小汚く傷んだクッションやぬいぐるみが山積みになっていました。
本当に大変な仕事だと思います。
by なゆ (2012-11-09 10:29) 

たろー

たしかにコールセンターのケースでは電話、匿名という環境が人をそうさせる原因になっていますね。

「世の中を変える」という意味が「具体的」にわかりません。
教育制度を変える?
子供の教育方法を変える?
親の世代を再教育する?

わたしは家庭教育が重要と考えます。
個人の品格向上の積み上げしか手段はないのではないかなあ。
幸いわが国では簡単に他国の国旗に火をつけたりする輩がまだいません。
なにかするなら今のうちですね。

 

by たろー (2012-11-09 12:59) 

caveruna

電話で思いっきり怒鳴られた事を思い出してしまいました。
理不尽な話で、いまだに嫌な思い出・・・^^
by caveruna (2012-11-10 03:52) 

式守錦太夫

fjymさま、歪みはどうしても、底辺に集中するようですね。
顔が見えないから、匿名だから、電話だから・・って、
なぜそこまで攻撃的になれるのかしら。

by 式守錦太夫 (2012-11-11 18:54) 

式守錦太夫

なゆさま、コールセンターの労働人口が、80万人くらいいるそうです。
気が休まらないでしょうね。
一度は経験した方がいいセクションだと思います。
by 式守錦太夫 (2012-11-11 18:58) 

式守錦太夫

たろーさま、教育の手段は、学校・家庭・社会とあります。
家庭教育の低下が叫ばれている以上、
社会教育に活路があると思いますよ。

地域の子どもたちを導ける社会のあり方、
うまく作用すると面白いと思います。
by 式守錦太夫 (2012-11-11 19:00) 

式守錦太夫

caverunaさま、イヤなことを思い出させてしまいましたね。
理不尽なことって、ほんとにイヤ。

by 式守錦太夫 (2012-11-11 19:02) 

たろー

具体的にどうするか規定しないと意味ないですよ。
社会システムでどうするか。

by たろー (2012-11-18 19:44) 

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